高齢でも赤ちゃんが欲しい【 part13】|赤ちゃんの身体はどうやって出来ていくのか?①「赤ちゃんの将来が決まる3肺葉」|3weeks

胚のリアルな絵|不妊治療HP

みなさん、こんにちは^^。
いままでは、妊娠するまでの大切なお話をしてきました。
受精から着床をして、妊娠成立まで。
今日からは、実際赤ちゃんの身体がどうやって出来ていくのかについてお話を進めていきましょう。

卵子の話↓
カテゴリー「卵子の話」
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カテゴリー「精子の話」

 

 

 

 

赤ちゃんの背骨と3胚葉

 

胚の解剖図|不妊治療HP

受精から3週間ぐらいのころ、後に胎児となる「胎盤」という部分に「原始線条 primitive streak」と呼ばれる筋状の構造があらわれます。これが赤ちゃんの背骨や脊髄(背骨の中を通る神経の束)になる部分です。
この原始線条は、どんどんと伸びていくのですが、伸びていく先が「頭」側で、その逆が「尾(足)」側になります。要はこの時点で赤ちゃんの身体の上下と軸が決まったということですね。

 

胚の成長の過程を表した図|不妊治療HP

 

そして、この時期にとても特徴的なことは、原陽形成と言われ、胚子内に3胚葉が出来ることです。3胚葉は、外胚葉、中胚葉、内肺葉に分かれ、「外胚葉 ectoderm」は表皮や神経などになっていく細胞群、そして「中胚葉 mesoderm」は筋肉や骨などになる細胞群、さらに「内肺葉 endoderm」は消化器や呼吸器などになる細胞群です。
この3層構造の形成は、まさに赤ちゃんの本格的な身体づくりの第一歩になります^^。

 

 

 

 

赤ちゃんの土台となる3胚葉

 

1. 原始線条と3胚葉の作られ方

この3層の作られ方をじっくりご説明しましょう。

胚子の中では、初め原始線条(primitive streak)の境界はぼんやりしていますが、受精後15〜16日ぐらいには明瞭にみられるようになり、狭い溝の両側がわずかに隆起しているような状態になります。
この原始線条がある胚盤の上部の細胞(胚盤葉上層)は、原始線条に向かって動いていきます。そして原始線条に到達するとそこから、胚盤葉上層部から離れ、下へと潜り込んでいきます。

話がややこしいかもしれませんが、下図で見るとわかるように原始線条のところから陥入していくのです。そして潜り込んだ細胞達は、あるものは胚盤の下層を押しのけながら、内肺葉を作り出します。またあるものは、胚盤葉上層と新しく出来た内肺葉の間に位置して、中胚葉を作り出すのです。そして残存している胚盤葉上層が外胚葉となります。

こうやって、胚盤葉上層は、外胚葉と中胚葉そして内肺葉の源となり、これらの3肺葉を作り出しているのです。

 

3胚葉が出来る過程を表した絵|不妊治療HP

 

 

2.3胚葉の成長後の組織とは!?

まだこの段階では、どっちが頭でどっちが尾(足)なのかよくわからず、将来の赤ちゃんの姿を想像するのは難しいかもしれませんが、赤ちゃんの基礎となるこの3肺葉が出来るということが大事なポイントなのです。

冒頭でお話しましたが、これらの3肺葉のこの後の成長はおおよそ決められています。
少しまとめてみましょう。

【外胚葉】
皮膚、毛髪などの体表面の組織と脳を含めた神経組織になります。

【内肺葉】
胃腸管の内腔細胞、肝臓、膵臓、甲状腺、呼吸器系、膀胱、尿道などの内臓細胞に発達します。

【中胚葉】
骨格、結合組織、循環器系、生殖器系、大部分の横紋筋、平滑筋に発達します。

妊娠3週目のお腹の中の様子|不妊治療HP

いかがですか?
この時期のお母さんはというと、実はまだ妊娠に気付いていません。
栄養学的にもこの最初の1ヶ月というのは大切な時期でもあるので、次回は脱線しますが、「妊娠に気付いていない1ヶ月」というお話をしていきます^^。

 

カイロプラクター/アプライドキネシオロジスト
小菅一憲

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高齢でも赤ちゃんが欲しい【 part12】|着床したら妊娠の成立!

布団をかけて仲良く寝ている2人の赤ちゃん|不妊治療HP

みなさん、こんにちは^^。
では昨日の続きを話していきましょう。

昨日のblogはこちら↓

 

受精卵は受精後、分裂を繰り返しながら、卵管の中を進み子宮に到着します。ちなみにこの時の受精卵は「胚」と呼んでいました。
子宮に到着した胚は、自分1人で成長していくことは出来ないので、初め「子宮のミルク」と呼ばれる分泌液によって栄養を受け取ります。そしてその後は子宮の壁にくっつき埋まっていくことで、栄養をもらうようになるのです。

この子宮の壁に根をはるように埋まっていくのが、いわゆる「着床」です。
長い長い道のりでしたが、この「着床」こそが、妊娠の成立とされています^^。

 

 

 

 

胚(受精卵)が子宮の壁に埋まっていく流れ

 

着床の絵a|不妊治療HP

着床の絵b|不妊治療HP

 

1.胚盤胞の構造

写真を見るとわかると思いますが、これが「胚」が着床し子宮の壁に埋まっていく過程です。英語の画像でわかりにくいかもしれませんが、なんとなくイメージが掴めればと思い、載せてみました。

着床する頃の胚は、胚盤胞と呼ばれており、中に空洞(胚盤胞腔)が出来ています。そしてこの空洞の中にある「内部細胞塊(図ではinner cell mass)」が後に胎児になる部分です。そしてこの内部細胞塊はその後、内部に羊膜腔(図ではAmniotic cavity)と原始卵黄嚢(図では紫の部分)という空洞を作ります。この時、真ん中の円盤状の部分が「胚盤Embryonic disc」と呼ばれ、胎児に成長していくところです!

 

 

2.万能細胞である「ES細胞」とは!?

ちなみにこの胚盤胞の中の内部細胞塊の細胞を取り出し、特殊な条件下で培養すると「万能細胞」と呼ばれる「ES細胞(胚性幹細胞)」が出来ます。
この内部細胞塊が、いろんな組織に成長して赤ちゃんを形づくっていくのと同じで、ES細胞は身体のあらゆる細胞に変化できる細胞でもあり、機能を失った臓器や組織を再生させる医療への応用ということで研究が進められているわけなんです。

ちょっと難しい話だったかもしれませんが、着床からこの胚盤という赤ちゃんの元のようなものが生まれる過程を知ってもらえればと思いました^^。
イメージは変わりましたか?

ではまた次回もお楽しみに〜^^。

 

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高齢でも赤ちゃんが欲しい【 part11】|受精成功後からすぐに細胞分裂が始まる!?

受精卵の細胞分裂の過程|不妊治療HP

みなさん、こんにちは^^。
前回は、ようやく受精に成功した精子と卵子のお話を書きました。
しかし、これでめでたく妊娠成立ではまだありません。

前回のblogはこちら↓

 

卵管膨大部で待っている卵子に、精子がたどり着き、無事に受精が行われた後、受精卵は細胞分裂(卵割)を続けながら、子宮へと向かいます。
この時に、受精卵が細胞分裂して出来た、細胞の集まりは「胚」と呼ばれています。そしてこの「胚」は「透明帯」と呼ばれる膜におおわれています。

 

 

 

 

受精した後の着床までの道のり

 

1.胚の孵化

写真を見てもらえるとわかりますが、こうやって素早く細胞分裂を繰り返しながら卵管を移動し、受精からおよそ5〜6日後、ついに胚は子宮に到着します。実はこの5〜6日間で、細胞数はなんと200〜300個ほどになっています。
大きさは大体0.15〜0.2mmぐらい。

子宮に到着した胚は、孵化します。
外側をおおっていた透明帯をやぶって中の胚が外に出てくるのです。
これがとても重要で、しっかり孵化が行われないと、胚はこの後正常に成長出来ないと言われています。
実際、透明帯がうまくやぶれずに、それが不妊の原因になっていることもあるようですね。

さて、孵化をクリアした胚は、はじめのうちは子宮の分泌液によって栄養を受け取りながら、子宮の壁にくっつき埋まっていきます。
これがいわゆる「着床」。
妊娠の成立ですね^^。
着床についてはまた次回、お話のつづきをします。

 

 

2.一卵生双生児と二卵性双生児の発生の違い

ちなみにこの卵管を移動する細胞分裂の初期の段階で、何らかの理由によって胚が2つに分かれることがあります。
その場合、それぞれの胚が独立に成長していき、「一卵性双生児」となります。
一卵性双生児はもとが同じ受精卵なので、持っている遺伝情報(DNA)はまったくの同じ。出生後もとても似た容姿になりますね。
一方、本当にまれに同時期に2つの卵子を排卵し、これらが運良く受精に成功すると、「二卵性双生児」となります。
二卵性双生児の場合は、別々の受精卵が成長して生まれるので、持っている遺伝情報は異なります。
こういったことから、一卵性双生児とは容姿がそこまで似ていないわけなのです。

 

この双子についての話は、とても面白いのでまた別の機会にでもお話したいと思います。

ではでは、また次回をお楽しみに〜^^。

 

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高齢でも赤ちゃんが欲しい【 part10】|卵子と受精するための「精子」のサバイバル

卵子に精子が群がっている神秘的な絵|不妊治療HP

さて、話は戻って、数億個の精子の中から卵子に到達した選ばれた精子たちのその後をお話しましょう。

以前の精子の話はこちらから↓

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長い旅を終えて、ようやく卵子の待ち受ける卵管膨大部に到着した、精子の精鋭たち。でもまだまだ競争は終わらず、これから受精に向けて最後のサバイバルが始まります^^。

 

 

 

 

受精の仕組みはすごい!

 

1.精子は酵素を使って卵子の膜を突き破っていく!

卵子と受精しようとしている精子の神秘的な絵|不妊治療HP

卵子は、多数の卵丘細胞の層におおわれています。
ここにたどり着いた精子は、頭部の「先体」という袋状の組織におさめられていた酵素を放出します。
この酵素が、卵丘細胞の層の細胞と細胞をつなぐ物質を壊すことで、精子がその中に突き進むのを助けてくれます。もちろんこの過程で力尽きてしまう精子もいますが、他の精子が引き継いでさらに奥へと突き進んでいきます。

 

卵丘細胞の層の奥には、さらに卵子をおおう「透明帯」とよばれる糖タンパクでできた層が待ち受けています。そしてここまで到達した精子はさらに別の酵素を使って、透明帯を突き破っていきます。

 

2.精子の核と卵子の核の合体

受精する時の精子の変化を示した図|不妊治療HP

精子がめでたく透明帯を突破すると、精子の細胞膜と卵子の細胞膜が融合し、精子の内部の核が卵子の内部に放出されます。
この精子の核(雄性前核)が、卵子の核(雌性前核)と合体することで、受精が成功です!
実はこの時に面白いのが、他の精子の受精をはばむ仕組みがあることでしょう。
1つの精子が透明帯を突破し、受精に成功すると、透明帯の性質が変わってしまい、他の精子を通さないようになります。

 

3.1つの精子しか受精しないようにする驚くべき仕組み

少し難しい話になりますが、精子が透明帯を突き破るには、まず透明帯の糖タンパク質(ZP3)と結合する必要があります。しかし、1つの精子が受精に成功すると、卵子の表層にある袋である表層顆粒から酵素が放出され、その酵素によってZP3が不活性化します。こういった仕組みによって他の精子が結合出来なくなります。
2つ以上の精子が受精してしまうと、受精卵が正常に成長できなくなってしまうので、それを防ぐバリアのような仕組みなのです。

すごい仕組みだと思いませんか?

さて、これらの話は文字よりも映像の方がわかりやすいので、以前載せたことがある受精の動画をまた載せておきますね^^。
もう一度お楽しみください。笑。

 

 

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